近年再発性前頭洞炎に対して, 左右前頭洞を単洞化し大きな排泄路を確保するEndoscopic Modified Lothrop Procedureが普及しつつある。今回我々はくも膜下出血に対する前頭開頭術後に皮下~左前頭洞の膿瘍を繰り返した再発性前頭洞炎の1例に対し, Endoscopic Modified Lothrop Procedureを施行し良好な経過をたどった1例を経験したので報告する。
症例は66歳男性。2000年にクモ膜下出血に対し開頭クリッピング術の既往があり, 術中左前頭洞の修復にチタン製メッシュ及びプレートが使用されていた。2003年頃より左前額部皮下に膿瘍を認め, 同部位からの排膿が反復するため2010年に当院紹介受診となった。チタン製異物による前頭洞炎の診断にてEndoscopic Modified Lothrop Procedure及び頭皮冠状切開によるチタン製メッシュ及びプレート抜去を施行した。術中所見にて左前頭洞自然口は狭小化しており, 左右前頭洞を単洞化した。術後経過は良好であり術後10ヵ月現在まで感染の再燃は認めていない。再発性前頭洞炎に対する手術法としてEndoscopic Modified Lothrop Procedureは有用と考えられた。