耳鼻咽喉科展望
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臨床
外耳道腫脹を契機に発見された成人Langerhans cell histiocytosisの1例
栗原 渉近澤 仁志谷口 雄一郎鴻 信義小島 博己
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2013 年 56 巻 3 号 p. 104-110

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抄録

Langerhans cell histiocytosis (LCH) は非常に稀な疾患で, その発生率は小児で100万人あたり2~10人と言われている。今回, 近医耳鼻咽喉科で滲出性中耳炎の治療を受けている過程で外耳道腫脹を来たし, Langerhans cell histiocytosisが発見された成人症例を経験した。全身麻酔下に乳突腔から生検術を行い確定診断を得た。その後に行った全身検索により, 側頭骨の孤立性病変であることが判明した。治療はprednisolone (PSL) の全身投与を行い, 病変は縮小し外耳道腫脹も改善した。治療開始17ヵ月後のCTで病変は乳突腔の末梢にわずかに認めるのみで制御されている。
Langerhans cell histiocytosisは稀な疾患であるが, 難治性の中耳炎や外耳道腫脹の鑑別疾患としては知っておくべきであり, 耳鼻咽喉科医は早期発見に寄与できる可能性がある。また, 側頭骨はLangerhans cell histiocytosisの後遺症である尿崩症のリスク臓器であり, 治療として化学療法が選択されることもある。

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