耳鼻咽喉科展望
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臨床
耳鼻咽喉科におけるストレス検査について
―その有用性と取り扱い―
辻 富彦
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キーワード: STAI, ストレス, めまい
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2015 年 58 巻 3 号 p. 153-157

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抄録

 当院を平成25年の1年間に受診した耳鼻咽喉科疾患の症例のストレス検査 (STAI=State-Trait Anxiety Inventory) の結果について集計した。 STAI の結果は特性不安, 状態不安に分けて Ⅳ, Ⅴ を呈した症例を高値例として集計した。 末梢性めまい, メニエール病を含む “めまい群” では STAI 高値の症例は特性不安で47.1%, 状態不安で80.8%であった。 突発性難聴, 低音型突発難聴などの “難聴群” では STAI 高値の症例は特性不安で50.0%, 状態不安で69.7%であった。 咽喉頭異常感症, 逆流性食道炎を含む “異常感症群” では STAI 高値の症例は特性不安で42.9%, 状態不安で57.1%であった。 正常成人では STAI で Ⅳ, Ⅴ を呈する割合は30~40%程度とされており, これと比較すると高値例の割合が高い傾向にあった。 このような耳鼻咽喉科疾患にはストレスが高い症例が多く存在していることがわかったとともに, ストレスを客観的に定量化する検査法として STAI は有用であると考えられた。

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