耳鼻咽喉科展望
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臨床
両側中等度伝音難聴を伴う構音障害の治療経験
近藤 由以子今川 記恵櫻井 結華宇田川 友克力武 正浩小森 学谷口 雄一郎鴻 信義小島 博己
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2015 年 58 巻 4 号 p. 210-216

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抄録

 両側中等度伝音難聴を伴った, 発声発語器官の異常や明らかな知的発達の遅れを認めない構音障害児1症例の構音指導を行った。 3歳3ヵ月時の初回構音評価は鼻音 [m, n, ɲ], 両唇破裂音 [p, b] 以外のすべての子音が声門破裂音に置換していた。 補聴器は未装用であった。 系統的構音訓練に基づき構音訓指導を開始したが, 正常構音の獲得のために必要な聴覚刺激を得るために, 補聴器の装用も勧めた。 系統的構音訓練の実施に加え聴覚刺激が増加したことで, 正常構音の自然獲得もみられるようになった。 正常構音の獲得には適切な聴覚補償が重要であることが改めて示唆された。

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© 2015 耳鼻咽喉科展望会
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