2016 年 59 巻 1 号 p. 12-18
口蓋裂児は耳管を開大する筋の走行異常があり, 耳管軟骨が脆弱である。 側頭骨乳突蜂巣の面積も小さい。 そのため滲出性中耳炎を早期から高率に合併する。 口蓋裂児には新生児聴覚スクリーニングを受けるように勧める。 新生児聴覚スクリーニングが refer の場合, 鼓膜の視診, 聴覚検査, 言語発達検査, 画像検査を適宜行う。 画像検査は被曝の影響が最少になるように配慮する。 チューブ留置の適応がある症例は1歳前後の口蓋形成術時に同時に手術を行う。 または補聴器装用も考慮する。 チューブ留置術は全例に必要ではないが, チューブが必要となる症例は長期にわたり, 経過観察が必要である。 新生児聴覚スクリーニングを pass した場合でも, 定期的な鼓膜の観察などの診察が必要である。 発達, 成長に応じ適宜検査を行う。 いずれの場合も長期にわたる経過観察が必要である。