耳鼻咽喉科展望
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臨床
内視鏡下鼻副鼻腔手術の術中所見および内服歴よりビスフォスフォネート関連顎骨壊死の診断にいたった1例
菊地 瞬飯村 慈朗岡田 晋一小島 慎平久保田 俊輝三浦 正寛千葉 伸太郎
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2017 年 60 巻 3 号 p. 134-139

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抄録

 今回われわれは, 内視鏡下鼻副鼻腔手術の術中所見および内服歴よりビスフォスフォネート関連顎骨壊死 (Bisphosphonate-Related Osteonecrosis of the Jaw: BRONJ) の診断にいたった1例を経験した。 症例は76歳女性で, 4年前から繰り返す膿性鼻汁と頬部痛を主訴に当院を受診した。 副鼻腔 CT 所見にて術後性上顎嚢胞と診断し, 左内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。 手術中に排膿部に壊死骨を認め, その術中所見および内服歴より BRONJ の診断にいたった。 ビスフォスフォネート製剤は骨粗鬆症等に使う薬剤であり, 創傷治癒不全を惹起し顎骨壊死を起こすことがある。 BRONJ は, 耳鼻咽喉科領域においては症例報告が散見される程度の疾患にとどまっている。 顎骨が露出する可能性がある手術では医原性に BRONJ を発生させてしまう危険性があると考えられる。 耳鼻咽喉科領域においても BRONJ を新たに発生させないために BRONJ は知っておくべき疾患であると考えた。

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© 2017 耳鼻咽喉科展望会
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