2019 年 62 巻 6 号 p. 280-290
アトピー性皮膚炎は, 皮膚バリア機能異常及び免疫異常をもとに慢性的に湿疹性病変や痒みを生じる炎症性皮膚疾患である。 病因が単一ではなく, 複数の要因が相互に影響し合うことにより複雑な病態を形成している。 従来のアトピー性皮膚炎治療は,外用薬, 内服薬や光線治療などが主なものであり, 選択肢は限られていた。 しかし, 近年, さまざまな研究の進歩により病態メカニズム解明が進み, 特定の分子をターゲットとした治療薬が開発されてきた。 そして, 新に抗体製剤が本邦においても使用可能となり, それまで難治性であった患者への有効性が実証されている。 さらに今後, 抗体製剤を含めた新規治療薬が登場予定であり, アトピー性皮膚炎治療は大きな転換期を迎えようとしている。 本稿では, 今後, 新たに出現する予定の新規治療薬を含め, 最新のアトピー性皮膚炎診療に対する考え方について概説する。