耳鼻咽喉科展望
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綜説
好酸球性中耳炎と喘息
野中 学瀬尾 友佳子佐藤 えみり
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2020 年 63 巻 2 号 p. 52-58

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抄録

 好酸球性中耳炎 (EOM) は, 上気道の一部である中耳腔に多数の好酸球浸潤を伴う難治性の中耳炎で, 下気道の代表的疾患の一つである喘息と高率に合併し, 両者は one airway, one disease の関係にあると考えられつつある。 最近の報告をまとめ, EOM の特徴, 喘息との関連性, 治療について概説する。

 喘息の重症度をみると, 重症度が高い喘息患者ほど EOM を発症している。 また, EOM を発症する喘息患者は, 喘息のコントロールが適切でなく, 喘息の吸入治療を適切に強化することは, EOM の改善につながる。 EOM の重症度を軽症, 中等症, 重症に分けると, 軽症ではケナコルト (TA) の鼓室内注入療法が有効, 中等症では TA に加えステロイドの全身投与が必要で, 重症では, さらに肉芽組織の外科的除去を要する。 最近, 分子標的薬の効果が報告されつつあるが, データの蓄積が待たれる。

 EOM と喘息の病態は密接に関係している。 適切な喘息のコントロールは, EOM を治療するにあたり重要である。 EOM の重症度に合わせた治療が開始されている。

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