2020 年 63 巻 2 号 p. 79-82
声門下肉芽による気道狭窄は感染症や外傷, 気管挿管などが原因で起こるとされているが, 比較的稀な疾患である。 今回, 声門下肉芽の再発を繰り返し, 9ヵ月間で複数回の手術を要した1症例を経験したので報告する。
症例は70歳男性で呼吸苦を主訴に当院を受診した。 本症例では心筋梗塞発症時他院にて挿管された経緯があり, 挿管の刺激で生じた声門下肉芽による気道狭窄と考えた。 経口的に顕微鏡を用いた喉頭微細手術で肉芽の完全切除を目指したが, 肉芽は声門下後方というアプローチしにくい場所に位置しており, 複数回の手術をしたにもかかわらず取り残しによる再発が疑われた。 そこで鼻用直達鏡と70度斜視鏡を用い経気管切開孔からアプローチしたところ, 肉芽の全貌の観察が可能となり基部を確実に切除できた。
以後再発を認めず良好な経過が得られたことから, 呼吸状態の問題から手術を選択せざるをえない場合, 肉芽の基部をさまざまな角度から明視下におくための工夫が必要であると考えた。