耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
臨床
診断に苦慮した気管切開術後の COVID-19 症例
土田 敬介大村 和弘西谷 友樹雄澤木 賢司宮島 真希子坂本 洋平李 広烈小島 博己
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 64 巻 3 号 p. 145-149

詳細
抄録

 新型コロナウイルス感染症 (Coronavirus disease 2019: COVID-19) の確定診断には逆転写ポリメラーゼ連鎖反応 (Reverse transcription polymerase chain reaction: RT-PCR) 検査が必要であり, 特に上気道検体である鼻咽頭スワブを用いて行うことが一般的である。 しかし, 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応が陰性であったとしても新型コロナウイルス感染症は否定できない。 今回気管切開術後に新型コロナウイルス感染症を発症した1例を経験した。 発熱, 呼吸不全を来し新型コロナウイルス感染症を疑ったが上気道検体による逆転写ポリメラーゼ連鎖反応は2回連続で陰性であった。 しかしその後喀痰を用いて逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を施行し新型コロナウイルス (Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2: SARS-CoV-2) 陽性を確認した。 臨床的に新型コロナウイルス感染を疑う場合は繰り返し逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を行う必要があり, また気管切開前後の感染であるならば初回から下気道検体を用いるべきである。

著者関連情報
© 2021 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top