耳鼻咽喉科展望
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綜説
好酸球性副鼻腔炎の病態と治療
都築 建三
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2021 年 64 巻 6 号 p. 320-330

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抄録

 好酸球性副鼻腔炎 (eosinophilic chronic rhinosinusitis: ECRS) の病態は, 外界刺激に対する鼻副鼻腔粘膜の自然免疫と獲得免疫応答であり, 2型サイトカイン (IL-4, 5, 13) を主軸とする2型炎症である。 血管透過性亢進による浮腫 (アルブミン漏出) と凝固系亢進・線溶系抑制 (フィブリン網沈着) が, 鼻茸の成因と考えられる。 診断基準による好酸球性副鼻腔炎の確定診断例は, 厚生労働省指定難病に該当する。 好酸球性中耳炎, 気管支喘息, 全身オーバーラップ疾患の併存も考慮する。 好酸球性副鼻腔炎の治療は, 呼吸および嗅覚機能の改善・維持をゴールとする。 費用対効果を考慮して, 2型サイトカインを抑制する薬物 (副腎皮質ステロイド薬, 生物学的製剤など) と内視鏡下副鼻腔手術を適切に組み合わせて治療する。

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