2021 年 64 巻 6 号 p. 355-359
側頸部嚢胞性疾患の鑑別診断は多岐にわたり, それらを念頭に置いた診察・検査を行うことが必要である。 今回われわれは, 側頸嚢胞と考えて摘出術を行った結果, 副甲状腺嚢胞と診断された症例を経験した。 側頸部嚢胞性疾患の中には癌のリンパ節転移や症状を呈する機能性副甲状腺嚢胞など, 早期の診断と治療介入が求められるものも存在する。 適切な鑑別疾患の列挙と診断に必要な検査を行うことが重要であるが, 検査を行っても診断が困難な場合は, 安易に経過観察とするのではなく, 摘出による病理組織検査を優先すべきである。