耳鼻咽喉科展望
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原著
めまい発作を契機に診断に至ったPendred症候群の1例
石橋 直樹宇田川 友克栗原 渉茂木 雅臣中澤 宝櫻井 結華小島 博己
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2022 年 65 巻 3 号 p. 112-116

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抄録

めまいは多くの人々が経験する一般的な症状であるが,原因としては末梢性のめまいが最も多い。末梢性めまいを引き起こす疾患の一つにPendred症候群がある。Pendred症候群はめまいとともに,高度の感音難聴と前庭水管拡大,甲状腺腫を合併する。しかしながら,これらの症状は必ずしも同一時期に発症するとは限らず,個別に診断されることも珍しくない。

今回われわれは幼少期から高度の難聴を患い,壮年期になって重度のめまいを発症したPendred症候群を経験した。紹介元病院の入院時の所見として,頭位眼振検査では顕著な右向き水平回旋混合性眼振が認められた。純音聴力検査では両側高度感音難聴,画像検査では著明な両側前庭水管の拡大,および甲状腺腫大を認め,以上より,Pendred症候群と診断した。抗めまい薬等により,めまい症状は軽快しており,現在,紹介病院と連携してPendred症候群の諸症状・所見を経過観察中である。

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