耳鼻咽喉科展望
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綜説
頭頸部がんとリキッドバイオプシー
三澤 清
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2022 年 65 巻 4 号 p. 132-137

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抄録

リキッドバイオプシーは,その検体に含まれる遺伝子情報の有用性から最近注目されている。リキッドバイオプシーで最も臨床応用がすすんでいるのは,血中循環腫瘍DNAを使った解析であり,いくつかのコンパニオン診断システムが導入され,分子標的薬の使用に役立つ情報を得ることができる。リキッドバイオプシーは全身の腫瘍由来のDNA全体を対象とするため空間的不均一性の影響を受けにくく,時間的不均一性を考慮した解析も可能である。現段階では,リキッドバイオプシーにおける課題は多くあるが,臨床研究を活性化するキーファクターになることは言うまでもなく,医師の役割を含めた医療システムに変化をあたえるツールになると期待されている。本総説では,主にがん診療におけるリキッドバイオプシーの現状と,我々の頭頸部がんにおける臨床応用に向けた研究について解説する。

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© 2022 耳鼻咽喉科展望会
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