耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
鼻アレルギーに対する麻黄附子細辛湯の臨床効果の検討
中井 義明大橋 淑宏江崎 裕介石塚 洋一松下 隆伊藤 博隆馬場 駿吉平川 勝洋原田 康夫菊屋 義則岡崎 英登黒川 道徳二宮 優子村上 譲伊東 一則深水 浩三大山 勝松根 彰志飯田 冨美子小川 敬大堀 八洲一花田 武浩
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 33 巻 Supplement5 号 p. 655-673

詳細
抄録

漢方製剤である麻黄附子細辛湯の通年性鼻アレルギーに対する効果を検討した。漢方の古典の記載に忠実に基づいた製法により得られたエキスを含む細粒剤と, それまでの経験に基づいた製法により得られたエキスを含む散剤の比較試験を実施した。
有効率 (著効+有効) は散剤投与群で63.5%, 細粒投与群で76.7%と, 両群とも良好な結果であり, 統計学的に差は認められなかった。各症状の改善率において, 細粒投与群が散剤投与群より鼻汁, 鼻閉症状に高い効果を示したが, 統計学的な差は認められなかった。細粒剤といわゆる抗アレルギー剤の有効率を比較すると, くしゃみ発作および鼻汁は同程度の効果が, 鼻閉については優る効果であったと考えられる。
副作用については, 散剤投与群で6.2%, 細粒剤投与群で5.1%の症例に認められたが, いずれも症状は軽微であり, また臨床検査値にもなんら異常は与えなかった。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top