耳鼻咽喉科展望
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頭頸部進行癌および再発癌に対するCisplatin, MethotrexateおよびPeplomycinによる併用療法の検討
Cisplatin, 5-FU併用療法と比較して
都志見 格斉藤 孝夫島田 千恵子島田 士郎穎川 一信清水 佐和道加藤 孝邦金子 省三本多 芳男
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1991 年 34 巻 2 号 p. 199-211

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抄録
頭頸部癌に対する化学療法はcisplatinの導入を機に飛躍的に進歩し, 以来cisplatinを中心とした多剤併用療法が主流となってきた。今回, 我々はcisplatin, peplomycinに中等量のmethotrexateを組み合わせたregimenを頭頸部進行癌および再発癌に対して施行し, また現在, 治療効果の高いとされているcisplati難, 5-FUを組み合わせたregimenをほぼ同時期に施行したので, 両者を比較して, cisplatin, methotrexate, peplomycin併用療法の治療効果について検討した。
全体の治療効果では, PPM療法にて奏効率76%, 著効率12%, PF療法にて奏効率65%, 著効率9%とほぼ同等の効果が得られた。
各背景因子について詳細に分析, 比較した結果ではその効果に差はみられなかった。
化学療法の治療効果に影響を及ぼす因子として, Performance status, 評価病巣が単一病変であるか否か, TNM個々のstageおよび手術摘出可能か否かが重要である印象を得た。
Kaplan-meier法による累積生存率での2次的効果の比較では24ヵ月という予後から見た場合, PPM療法32%, PF療法21%と同等以上の効果が得られたが, 各影響因子について検討したところほぼ差を認めず, 逆に両療法の1次的効果に反す結果もみられ, 奏効期間の短さを感じさせる結果となった。
以上の結果, cisplatin, peplomycin, およびmethotrexate併用療法は現時点では頭頸部癌に対する多剤併用療法として, 充分効果の期待できうるregimenといえる印象を持った。
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