耳鼻咽喉科展望
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和歌山県におけるスギ花粉症の疫学
榎本 雅夫横山 道明新井 宏紀硲田 猛真
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1991 年 34 巻 2 号 p. 219-226

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抄録

スぎ花粉症は増加しているといわれている。増加の要因としては様々なことが報告されているが, 自然集団の中でどの程度に増加しているかについての報告は少ない。著者らは和歌山県下無作為に集めた多数例の血清を対象にRAST, AlaSTATによりスギ特異IgE抗体の測定を行い1895年の調査と比較した。
その結果は次の通りであった。
1.スギRAST1以上の陽性者は22.7%, 2以上は18.3%であった。スギAlaSTATの陽性者頻度は, スコア1以上は33.8%, スコア2以上はRASTとほぼ同じ20.1%であった。
2.女性よりも男性の方に陽性者が多かった。
3.年齢的には16-19歳台で陽性者がもっとも多く, 加齢と共に陽性率は減少した。
4.スギRAST陽性者は, 5年前の同調査と比較して増加していた。また, 好発年齢が若年化していた。
5.スギ特異IgE抗体陽性者は針薬樹, スギやヒノキの樹林面積の多いところに多かった。しかし, 増加の要因としての大気汚染の関連は証明できなかった。

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