耳鼻咽喉科展望
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鼻茸形成過程における上皮細胞の役割
ウサギ実験的副鼻腔炎における組織学的研究
深見 雅也鴻 信義柳 清森山 寛Pontus Stierna
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1995 年 38 巻 2 号 p. 181-190

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抄録

我々は, 細菌感染によってウサギに慢性副鼻腔炎を惹起することにより, 副鼻腔及び鼻腔にポリープが形成されるのを認めた。これらは組織学的特徴から,「肉芽性ポリープ」および「浮腫性ポリープ」の二つの型に分けられた。「肉芽性ポリープ」は上皮を完全に失った部で, 線維芽細胞の増殖と血管新生が起こって肉芽が洞内に突出することによって形成され, それを被うように未分化な上皮細胞が増殖移動していくように観察された。「浮腫性ポリープ」は, 上皮細胞が脱落したり, 成熟した形態を失って背の低い未分化な形態を示したり, 扁平な上皮細胞が重層して観察されたりする部で, 形成されていた。本研究の結果は, 上皮細胞も鼻茸形成の初期において, なんらかの役割を果たしていることを示唆する。

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