耳鼻咽喉科展望
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知覚神経の鼻粘膜上皮杯細胞と繊毛細胞に対する影響
これら細胞の機能的協調性について
久松 建一上條 篤寺川 進岸保 鉄也水越 昭仁村上 嘉彦
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1995 年 38 巻 3 号 p. 296-303

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抄録

鼻粘膜上皮表層には粘液繊毛輸送系に携わる二つの細胞-杯細胞と繊毛細胞が存在する。今回, ラット鼻粘膜上の2種類の細胞をビデオ強化式顕微鏡法によってリアルタイムに高倍率で観察し, 杯細胞分泌顆粒のエキソサイトーシスによる分泌反応及び繊毛運動を同時に定量化することを試みた。知覚神経伝達物質の中で, カルシトニン遺伝子関連ペプタイド (CGRP) は杯細胞のエキソサイトーシス反応及び繊毛運動に影響を与えなかったが, サブスタンスP (SP) 及びニューロキニンA (NKA) は杯細胞のエキソサイトーシス反応数を増加させた。またSPは繊毛運動も有意に充進させ, NKAも繊毛運動を充進する傾向が認められた。SP, NKAによる杯細胞からの分泌増加は繊毛運動の充進とほぼ同時もしくはやや遅れて認められ, 杯細胞と繊毛細胞が協調して働いていると考えられた。知覚神経が粘液繊毛運動系において重要な働きを担っていることも再認識された。

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