耳鼻咽喉科展望
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腎癌の鼻腔転移の1症例
武井 聡増野 博康小林 宏成
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1995 年 38 巻 5 号 p. 590-595

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抄録

腎癌の転移は一般に血行性で, 転移する臓器は, 肺, 肝, 骨が主であり, 耳鼻科領域への転移は稀であるとされている。今回, 腎癌にて腎摘後2年経過して, 鼻腔, 副鼻腔への転移を認めた1例を経験したので報告する。
症例は61歳男性, 鼻出血を主訴に来院した。鼻腔内に腫瘍性病変部を認め, 画像, 生検等精査を行うも確定診断は得られなかったが, 既往歴, 症状より, 腎癌の鼻腔転移を強く疑い全摘出術を施行した。摘出した腫瘍の組織病理所見より腎癌の鼻腔転移と診断された。術後8ヵ月を経過したが, 他の転移巣は認められず, 局所再発も認められていない。

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