耳鼻咽喉科展望
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鼻腔抵抗
鼻腔所見と鼻閉感の関係
岩田 重信近藤 由香近藤 正道竹内 昌宏小森 真由美
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1995 年 38 巻 6 号 p. 710-718

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抄録

鼻呼吸障害の評価法としての鼻腔通気度検査の普及は日耳鼻調査委員会の報告によればまだまだ不十分である。その理由として鼻閉感の程度と測定値の不一致や測定法の相違により正常値が異なっているためと考えられる。そこで正常鼻腔と鼻閉患者の150鼻側を対象として, 鼻閉の程度 (4段階) と鼻腔所見を8段階にスコア化しAnterior Rhinomanometeryによる通気度パラメータ値と比較検討した。正常範囲を鼻閉感のない鼻腔所見1点以下とすると吸気時のPeak Flowは0.32から0.40L/sec, 鼻腔内圧は0.85から1.42cmH2O, 鼻腔抵抗は2.70から4.58cmH2O/L/secの範囲を示し, 呼気時はPeak Flowは, 0.35から0.47L/sec, 鼻腔内圧は0.48から1.76cmH2O, 鼻腔抵抗は2.48から3.44cmH2O/L/secの範囲内で, 呼気時とほほ伺様な成績を示した。鼻閉感の程度と通気度測定値, 特に鼻腔抵抗値とは必ずしも一致しないが, 客観的な検査法として鼻腔所見を参考にして日常診療にもっと応用されるべきと考えた。

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