耳鼻咽喉科展望
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眼窩底骨折に対する経鼻内的整復法の考案
経鼻内バルーン法
江崎 史朗徳永 雅一橘 敏郎大西 俊郎
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1996 年 39 巻 3 号 p. 289-293

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抄録
眼窩底骨折に対する観血的整復のアプローチ法は, 従来より経下眼瞼法と経上顎洞法の二つの基本的アプローチが行われてきた。しかし, これらの方法では下眼瞼下縁外切開や歯齪部切開を必要とする。そこで, 我々は平成5年1月よりこれまでのアプローチ法と異なり, 内視鏡下鼻内手術による鼻内経由にてバルーンカテーテルを用いた眼窩底骨折の整復 (経鼻内バルーン法と称した) を行うことを工夫考案し11症例を重ねてき
これまで本法によりほぼいずれの症例も良好な結果が得られており, 今回そのうち複視を主訴とした28歳男性の眼窩底骨折新鮮症例に本法整復を行った一例を呈示し, その手技について報告した。
経鼻内バルーン法の利点は, まず下眼瞼下縁, 歯齪部, いずれの切開も必要とせず患者に対し最も侵襲の少ない点である。つぎに内視鏡下に上顎洞内で眼窩内容陥入部とふくらむバルーンが確実に接し固定されるのが確認できる点である。
今日, 慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下鼻内副鼻腔手術が盛んに行われるようになってきたが, 本法は内視鏡下鼻内手術に習熟すれば十分に施行可能であり, 今後は眼窩底骨折も内視鏡下鼻内手術の適工応の一つになる可能性は高いものと考えた。
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