抄録
音声酷使が声帯にどの様な障害をひきおこすかを検討するために, 大脳辺縁系の最終共通経路とされている脳幹部位への電気刺激によるVocal abuseラットモデルを作製した。5匹が1回0.6秒, 1日650から1,300回, 7から48日間の誘発発声が可能であった。最も声が大きかった1匹 (1日800回, 16日間発声) に声の変化が生じ, このラットのみ声帯に光学顕微鏡的に異常所見が認められた。その所見は両側声帯の粘膜固有層の深部に, 密な好酸性物質と少数の血管外赤血球漏出として観察され, 声帯膜様部中央が最も顕著であった。