1997 年 40 巻 2 号 p. 156-164
頭頸部扁平上皮癌培養細胞に対する上皮成長因子 (Epidermal Growth Factor;EGF) の作用, またこれらの細胞のEGFリセプター (EGFR) 発現, 抗EGFR抗体の作用, 化学療法の感受性に対する影響などを検討した。培養上清のEGF産生量はすべて検出限界値以下であった。EGFRは全ての細胞に発現し, 過剰発現する細胞もみられた。サイトカイン (IFNα, β, TNFα) によってEGFR発現は増強し, EGFとの併用で増殖能も上昇した。EGFによって増殖促進される細胞にはセルサイクルの変化すなわちS+G2M期への集積がみられ, この増殖促進効果は抗EGFR抗体添加により抑制された。EGF添加によりcisplatinの腫瘍に対するinhibition rateは高まり, 抗腫瘍効果においてcisplatinと抗EGFR抗体の相乗効果がみられた。