耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎手術前後の下気道過敏性
臼井 信郎渡辺 光弘原 俊彰大越 俊夫
著者情報
キーワード: 下気道, 過敏性, 鼻茸, 鼻内手術
ジャーナル フリー

1997 年 40 巻 5 号 p. 539-545

詳細
抄録

鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎手術症例の下気道過敏性に及ぼす影響について, メサコリン鼻吸入試験前後の換気機能検査をもとに経過を追って調べ, 治療効果判定のための指標と, それによる術後治療期間を検討することを目的とした。対象は鼻茸摘出術と鼻内鯖骨洞開放術を受けた22症例 (男性14例, 女性8例) であった。結果 : 1) 鼻茸を伴う副鼻腔炎手術症例の気道過敏性評価の指標としては1秒率が適していた。2) 術前のメサコリン鼻吸入試験陽性群の下気道過敏性は術後12ヵ月で最も亢進していた。3) 術前のメサコリン鼻吸入試験陽性群の下気道過敏性は術後18ヵ月で最も低下していた。4) 術前のメサコリン鼻吸入試験陰性群においても術後12ヵ月で吸入後1秒率の下降が認められた。5) アレルギー検査陰性群においては術後6ヵ月と12ヵ月でメサコリン鼻吸入後1秒率の下降が認められた。6) 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎術後治療に要する期間は18ヵ月前後と考えられた。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top