1997 年 40 巻 5 号 p. 557-563
閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対しての外科的治療法としては口蓋垂口蓋咽頭形成術 (以下UPPPと略す) が一般に行われている。UPPPの治療効果を上気道の気流動態より判定するため, 呼吸抵抗を測定した。測定にはマイクロライノグラフを使用した。測定は座位・仰臥位にて各々鼻呼吸抵抗と口呼吸抵抗を測定した。その結果, 座位・仰臥位ともに鼻呼吸抵抗・口呼吸抵抗は術前に比べて術後は有意に減少した。また, 上気道抵抗 (鼻呼吸抵抗一口呼吸抵抗) を術前術後で比較すると, 座位では有意差は認められなかったが, 仰臥位では有意に減少した。このことによりUPPPによる中咽頭領域の拡大が体位の影響を受けやすいOSAS患者の上気道に改善をもたらしたものと考えられた。