1997 年 40 巻 Supplement2 号 p. 150-154
内視鏡下鼻内手術を行った慢性鼻副鼻腔炎症例の分析を行い, 病態による術後経過の相違を検討した。片側性副鼻腔炎では全例で経過良好であった。喘息合併群では, 鼻茸に著明な好酸球の集積が見られ, 術後経過のあまりよくない例が多く見られた。アレルギー性鼻炎合併例でも, 副鼻腔炎においてはI型アレルギー以外の種々の因子が関与していると考えられ, 内視鏡下鼻内手術は有効であった。術中内視鏡による上顎洞の観察による分類では, 上顎洞にポリープと膿の両者が存在した群などに術後経過不良例がやや多い傾向が見られたものの, 副鼻腔炎の病態を明確に分類するには至らなかった。