耳鼻咽喉科展望
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神経変性疾患における声帯麻痺
磯崎 英治
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1998 年 41 巻 4 号 p. 393-403

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抄録

神経変性疾患における声帯麻痺の出現機序について, 内喉頭筋 (前筋, 横筋, 後筋) の組織学的所見を中心に検討した。多系統萎縮症では, 後筋にのみ神経原性変化を認め (後筋麻痺型), 筋萎縮性側索硬化症, Machado-Joseph病, 家族性アミロイドポリニューロパチーでは, すべての筋に神経原性変化を認めた (全筋麻痺型) 。パーキンソン病, 進行性核上性麻痺では, いずれの筋にも形態的異常を認めなかった (非麻痺型) 。また, 食道潰瘍を認めないnasogastric tube syndromeの自験例を提示し, その機序として後筋の虚血性筋障害を想定した。神経変性疾患の障害部位は多系統にわたることが多いため, 声帯麻痺は上記の3型が複合することも考えられる。多系統萎縮症における気管切開術の施行時期は, 当院では声帯外転麻痺の分類 (私案) 上ステージ2bを示し, かつ経皮的酸素飽和度の終夜モニターの結果を考慮した上で, 決定している。

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