耳鼻咽喉科展望
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頭頸部悪性腫瘍の動向
北里大学における26年間の臨床統計
岡本 牧人高橋 廣臣八尾 和雄稲木 勝英中山 明仁馬越 智浩永井 浩巳
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キーワード: 頭頸部癌, 疫学, 生存率, 罹患率
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1999 年 42 巻 5 号 p. 474-482

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抄録

1971年から1996年に北里大学病院耳鼻咽喉科に登録され組織学的に悪性腫瘍と診断された1,731名を検討した。
相模原市の人口を基に算出した年齢調整罹患率は人口10万対21.2であった。
部位別頻度は, 喉頭, 咽頭, 口腔, 鼻副鼻腔, 甲状腺, 唾液腺, 頸部の順であった。1980~1993年の全国統計では口腔癌がもっとも多かった。
病理組織学的頻度は扁平上皮癌が圧倒的に多く, 次いで悪性リンパ腫, 乳頭状癌, 腺癌, 腺様嚢胞癌の順であった。
全例の5年粗生存率は51%, 10年粗生存率は31%であった。
年次変化では頭頸部癌は患者数も死亡数も増加した。その要因として人口の高齢化が考えられ, 今後も頭頸部癌患者は増加することが予測された。
癌死を減らすためには頻度の一番多い口腔癌の治療成績を上げることが第一である。また, 今後増加すると予想される口腔癌, 中咽頭癌, 下咽頭癌を減らすために禁煙, 節酒など予防も働きかけていく必要がある。

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