2000 年 43 巻 1 号 p. 59-63
深頸部膿瘍は, 抗生剤治療が進歩している現在においても依然として, 適切で迅速な治療を行わなければ重篤な状態に陥り, 致死の可能性のある疾患である。今回われわれは1996年4月から1999年3月までの3年間に深頸部膿瘍15例を経験した。その中の1症例は縦隔膿瘍に至った。膿瘍形成が認められた場合, 外科的処置が早期治癒につながると考えられる。また基礎疾患に糖尿病を持つ症例や, 高齢者の場合は症状が重篤化したり治癒が遷延化する可能性を念頭に置き治療にあたる必要があることを再認識した。