耳鼻咽喉科展望
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耳鼻咽喉科領域と性感染症
淋菌, クラミジア感染症を中心に
清田 浩斑目 旬木村 高弘小野寺 昭一大石 幸彦
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キーワード: 淋菌, クラミジア, 咽頭感染
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2000 年 43 巻 2 号 p. 147-153

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抄録
近年の性感染症 (sexually transmitted diseases; STD) の動向を耳鼻咽喉科領域と密接に関係する淋菌およびクラミジア感染症を中心に概説した.1987年に開始された厚生省のSTDサーベイランスでは, 淋菌およびクラミジアの性器感染症はエイズ・キャンペーンの影響により1991年から減少したものの, 1996年には増加に転じ, 現在もこの傾向は続いている.このような再増加の原因として一般人の無症候性保菌者の増加と性風俗に関係する女性の咽頭感染が推測される。とくに後者は淋菌およびクラミジアのreservoirとなっている可能性が高いが, その実体が明らかではない。従って, これら感染症の蔓延を阻止するためには咽頭感染に関するサーベイランスが必要と考えられ, 今後, 耳鼻咽喉科領域からより一層の関心が寄せられることが期待される。
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