耳鼻咽喉科展望
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小青竜湯エキスのスギ花粉症の鼻炎症状に対する臨床効果
河野 英浩山田 昌宏山岡 秀之佃 守
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2000 年 43 巻 3 号 p. 253-257

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抄録

スギ花粉症の鼻炎症状に対する小青竜湯エキス錠の効果を検討した。投与期間はスギ花粉が飛散した2月から3月までの期間で, スギ花粉による鼻アレルギー症状を訴えて来院した患者15名に対して小青竜湯エキス錠 (EKT-19) を原則として2週間経口投与し, 投与前と投与後の症状を比較して, 試験薬剤の鼻炎症状に対する効果を検証した。その結果, 鼻汁に対しては14.3%が改善, 42.9%がやや改善以上を示し, 改善傾向を示した (P=0.053) 。鼻閉に対しては改善が21.4%, やや改善以上が50.0%で有意な改善 (P=0.008) を, くしゃみに対しては14.3%が改善, やや改善以上が71.4%で有意な改善を示した (P=0.005) 。眼掻痒感に対しては14.3%が改善, やや改善以上が42.9%で有意な効果を示した (P=0.014) 。後鼻漏, 流涙の項目では有意な効果は認められなかった。これらの結果から判定した全般改善度は改善が46.7%, やや改善以上が73.4%であった。スギ花粉症患者の約半数に対して一定の効果を示したことにより, 小青竜湯は花粉症に対して有効な薬剤であると考えられた。

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