2000 年 43 巻 6 号 p. 507-511
99mTcおよび201Tlシンチグラムによる2核種複合診断を行った唾液腺腫瘍52例 (耳下腺腫瘍42例, 顎下腺腫瘍10例) につき検討した。方法は99mTcO4-185MBqと201TlCl 111 MBq を同時に静注し, 15分後と3時間後にplanar像とSPECT像を撮像し, 腫瘍の局在と良悪性の鑑別を行った。その診断基準としてTcシンチグラム早期像にて腫瘍に一致して欠損部があることを確認し, Tlシンチグラム後期像にて正常側唾液腺と比べ集積の強い場合を悪性, 弱いものを良性と診断した。検討した全例に手術または生検を施行し, 病理組織学的に確定診断を行った後に, 全体の診断率, 敏感度, 特異度を算出した。その結果, 偽陽性症例が認められたものの, いずれも80%以上の結果が得られ, 99mTc-201Tlシンチグラフィによる2核種複合診断の有用性が確認された。