2002 年 45 巻 6 号 p. 473-478
睡眠時のいびき, 無呼吸を主訴として受診した患者のうち, 精査にて舌扁桃の著明な肥大がその原因と考えられた5症例 (男性4例, 女性1例) に対し, 舌扁桃切除術を施行した。そのうち2症例 (男性) は両口蓋扁桃摘出術も同時に施行して改善し, 残る3症例は自他覚所見とも改善が得られた。全例で睡眠時無呼吸低呼吸指数 : AHI, 及び動脈血酸素飽和度 : SaO2の改善は認められたが, うち1例は睡眠時無呼吸指数 : AI, 睡眠内容や日中過眠の改善には至らなかった。舌扁桃肥大による睡眠呼吸障害はその程度のわりには睡眠障害が強く出現する傾向にあり, 努力性呼吸のパターンになると考えられた。舌扁桃切除術は, あらかじめ気管切開を行う方が安全と思われるが, 超音波メスを用いることで, 出血や術後の腫脹も軽減でき, 気管切開を行わないなど侵襲が少なく, 患者にとって利点が多いと考えられた。