2003 年 46 巻 3 号 p. 216-220
耳管開放症は耳閉感, 自声強聴, 自己呼吸音の聴取を主訴とする疾患である。軽症例においては, 自然緩解や保存的治療により軽快する例が多いものの, 重症例の治療は困難である。筆者らは, 重症例に対し開発したシリコン製耳管ピンを経鼓室的に挿入し, 約8割の症例で有効であったことを報告してきた。経鼓室口的挿入は大部分の症例で可能だが, まれに耳管鼓室口が狭く, 挿入ができないことがある。
今回我々は, 耳管ピンの経鼓室的挿入が困難であった1症例に対して, 経咽頭口的耳管ピン挿入を施行し, 奏功した症例を経験したので, その方法とともに報告する。