耳鼻咽喉科展望
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副鼻腔炎の治療-YAMIK療法の有用性と評価-
古城門 恭介
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2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 34-40

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抄録

YAMIKカテーテルによる治療 (YAMIK療法) の副鼻腔炎に対する有用性について検討するため, 臨床症状・X線所見の変化について検討した。さらにYAMIKカテーテルにより採取された副鼻腔貯留液中の炎症性サイトカイン濃度 (IL-1β, IL-8, TNF-α) と副鼻腔炎の病態との関係を検討し, 炎症性サイトカイン濃度変化の観点からYAMIK療法の有用性についても検討した。YAMIK療法施行後に, 全症状スコアの合計は957%の症例で減少を認め, 鼻漏, 鼻汁, 後鼻漏, 頭痛はそれぞれ455%, 78.9%, 5a5%, 7a5%の症例で症状の消失を認めた。また, 全X線スコアの合計は85.3%の症例で減少を認め, 節骨洞, 上顎洞においてX線スコアが改善または消失した割合はそれぞれ51.7%, 875%であった。一方, 副鼻腔貯留液中の炎症性サイトカイン濃度は正常例よりも有意に高く, X線所見と弱い正の相関を認めた。さらに, 注入液に生理食塩水を用いた群 (生食群) とベタメタゾンを用いた群 (ベタメタゾン群) との比較をしたところ, 臨床症状とX線所見の変化においては差を認めなかった。炎症性サイトカイン濃度 (IL-1β, IL8, TNF-α) の検討において, IL-1βとIL8濃度は生食群とベタメタゾン群はともにYAMIK療法1週間後に有意な減少を認めた、TNF-α濃度はYAMIK療法後に生食群では有意な減少を認めなかったが, ベタメタゾン群は有意な減少を認めた。このようにYAMIK療法は副鼻腔炎に対して有効な臨床効果を得ることができ, 特に副鼻腔貯留液を排除するだけでも副鼻腔炎に対して治癒を促していることが示唆された。さらに, 副鼻腔にステロイド剤を注入することにより副鼻腔貯留液の排除だけとは異なった治癒機転を呈している可能性についても示唆された。

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