2005 年 48 巻 2 号 p. 74-80
今回我々は東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科および関連施設において平成12年5月から平成16年7月までに経験した上顎洞血瘤腫症例12例を対象に年齢, 性, 自覚症状, 鼻内所見, 画像所見, 治療方法, 腫瘍基部, 病理組織などについて検討した。症例は男性8例, 女性4例, 年齢は15歳から56歳で平均30.8歳であった。臨床像は過去に報告された症例と同様であり, 画像所見などにより, 術前に血瘤腫を疑うことは可能と思われた。内視鏡下鼻内副鼻腔手術にて腫瘍を摘出しえた症例は11例あり, 術前に血管造影を行い, 顎動脈塞栓術を施行した症例が2例あった。術前に画像診断にて血瘤腫と考えられた症例に対して, 止血対策を検討の上, 侵襲の少ない鼻内手術が有効であると考えられた。