後部副鼻腔嚢胞による症状は耳鼻咽喉科領域よりも, 眼科, 脳神経外科, 内科領域のことが多く, 患者は耳鼻咽喉科ではなく眼科や脳神経外科, 内科を先に受診することが多い。特に副鼻腔疾患による視神経症は稀な疾患ではなく, 視神経症全体の2~5%が副鼻腔疾患に原因があるとされている。鼻性視神経症は早期発見, 治療が予後に大きな影響を及ぼすと考えられているが, 他科の医師も副鼻腔疾患が原因であるとすぐに判断がつかず治療開始が遅れてしまう傾向がある。本症例は51歳女性で, 頭痛を主訴に内科を初診し, その後視力障害, 眼瞼下垂, 眼球運動障害が出現したため眼科, 脳神経外科を経由し, 画像検査ではじめて蝶形骨洞嚢胞がみつかり耳鼻咽喉科へ紹介された。その後内視鏡下鼻内副鼻腔手術, ステロイド剤の投与を行い, 眼瞼下垂, 眼球運動障害は改善したが, 視力障害は改善しなかった症例を経験したので報告する。
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