耳鼻咽喉科展望
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当院における小児急性中耳炎の起炎菌とその薬剤感受性
内水 浩貴歌橋 弘哉森山 寛
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2005 年 48 巻 5 号 p. 312-319

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抄録

当院における小児急性中耳炎の起炎菌を細菌培養検査と薬剤感受性試験の結果をもとに検討し, さらにセフジトレン・ピボキシル (CDTR-PI, メイアクト®) の小児急性中耳炎臨床症状に対する治療効果について検討した。2000年7月から2005年3月までに急性中耳炎にて東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科を受診した小児41例を対象とした。検出菌81株中, 肺炎球菌が20株 (24.7%), インフルエンザ菌が20株 (24.7%), モラキセラ・カタラーリスが10株 (12.3%) であった。また41例中35例 (854%) で3大起炎菌である肺炎球菌, インフルエンザ菌, モラキセラ・カタラーリスのいずれかの関与が認められた。3大起炎菌における耐性菌の検出率は従来の報告とほぼ一致する結果であった。肺炎球菌とインフルエンザ菌に対する薬剤感受性試験においてはセフジトレン (CDTR) の感受性が良好であった。さらに臨床においてもセフジトレン・ピボキシル内服により小児急性中耳炎の臨床症状の改善を認めた。したがって小児急性中耳炎に対してセフジトレン・ピボキシルは非常に有効な経口抗菌薬であると思われた。しかしセフェム系抗菌薬の多用は今後薬剤耐性菌を増加させる可能性があるため, 小児急性中耳炎に対する抗菌薬の使用に注意する必要がある。

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