閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) に対する集学的治療の一環として行った口腔装置治療例を報告する。
症例はOSASに対する集学的治療の選択肢の一つとして口腔装置治療を単独に行った例と口腔装置治療と他治療との併用療法を行った3症例である。症例1は他院でCPAP療法を行っていたが, 口腔装置治療の適応があったため口腔装置治療に変更した例, 症例2は口腔装置治療例に鼻腔通気度の改善目的で内視鏡下鼻内手術を併用した例, 症例3はCPAP療法の治療圧を低くする目的でCPAP療法に口腔装置治療を併用した例である。
OSASの閉塞部位が軟口蓋~舌根レベルであり, 口腔装置治療単独で同部の気道断面積が増大する症例は口腔装置治療の良い適応である。一方, 口腔装置治療単独ではOSASを改善できなくても, 口腔装置治療がOSASに対する集学的治療の一治療法として有効な症例も口腔装置の適応と考えられた。OSASに対しては, CPAP療法, 手術, 口腔装置治療, 減量などを組み合わせた集学的治療を行うことが望ましく, 口腔装置治療も集学的治療の一環として行う必要があると考えられた。
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