2007 年 50 巻 6 号 p. 416-419
小児の食道異物は日常診療でしばしば遭遇するが, X線撮影で診断可能なもの, 診断が難しいものがある。今回はその両方が重複した異物症例を経験したので, 反省点も含めて報告する。
症例は3歳の男児で, 当初五円硬貨または五十円硬貨の食道異物が疑われたが, 実際は五円硬貨と一円硬貨が重複して存在していた。アルミニウムは他の金属に比しX線吸収係数が小さいため, 異物となった場合, 単純X線検査でしばしば見落とされやすいため注意が必要である。また, 食道異物の症例においては, 常に複数個の異物が重複して存在する可能性を念頭に置くべきであると考える。