Otology Japan
Online ISSN : 1884-1457
Print ISSN : 0917-2025
ISSN-L : 0917-2025
ランチョンセミナー6
中耳炎ガイドラインを参考にした小児上気道感染症のマネジメント
林 達哉
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 20 巻 2 号 p. 113-118

詳細
抄録

2009年に第2版が出版された「小児急性中耳炎診療ガイドライン」はアモキシシリンを第一選択とするエンピリカルな抗菌薬選択を基本とする。同時に抗菌薬不要例の存在についても言及され、本ガイドラインからは抗菌薬の適正使用を本邦に定着させるという作成者の明確な意図が読み取れる。抗菌薬の適正使用をさらに推進するためには、中耳炎ガイドラインの考え方を鼻副鼻腔炎や咽頭・扁桃炎など他の上気道感染症にも拡大、応用していく必要がある。
感染症診療の第一段階と言えるウイルス性と細菌性の鑑別は小児急性咽頭・扁桃炎では迅速診断キットが中心的役割を果たす。注意したいのは膿栓の付着が細菌感染を意味しない点である。一方、小児急性鼻副鼻腔炎ではこの鑑別が容易ではなく、膿性鼻汁の長期化が唯一明確な細菌性炎症の指標とされる。議論はあるものの、いずれの疾患についても第一選択抗菌薬は急性中耳炎と同様アモキシシリンである。

著者関連情報
© 2010 日本耳科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top