Otology Japan
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原著論文
残存聴力活用型人工内耳(EAS:electric acoustic stimulation)を使用した一症例:人工内耳手術における残存聴力保存の試み
宇佐美 真一工 穣鈴木 伸嘉茂木 英明宮川 麻衣子西尾 信哉
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2010 年 20 巻 3 号 p. 151-155

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抄録

低音域に残存聴力を有する高度感音難聴患者に対し人工内耳埋め込み術を施行した。症例は60歳女性。40歳頃から難聴を自覚した。50 歳頃からは右耳の補聴器の装用効果が認められなくなった。この症例にMED-EL社人工内耳(COMBI 40+:standard電極)埋め込み術を行った。電極挿入は、より低侵襲な正円窓からのアプローチにより行った。全電極を挿入したにもかかわらず、挿入後の低音部聴力が保存できた。残存聴力の保存が確認できたため、Electric acoustic stimulation用のスピーチプロセッサであるDUET®を用い、低音部は補聴器、高音部は人工内耳により音情報を送り込んだ。
8ヶ月後の語音弁別能を評価した結果、術前15%であった最高明瞭度が50%にまで改善が認められ、日本語の聴取においても有用であることが明らかとなった。

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© 2010 日本耳科学会
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