Otology Japan
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ランチョンセミナー5
好酸球性中耳炎の臨床
石戸谷 淳一
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2010 年 20 巻 3 号 p. 251-256

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抄録

好酸球性中耳炎は粘稠な耳漏を特徴とし、従来の治療法に抵抗する慢性中耳炎である。また、コントロール不良の場合には感音難聴も生じることから、早期に的確に診断されなければならない。好酸球性中耳炎のほとんどの症例は気管支喘息を合併し、好酸球性副鼻腔炎を合併する症例も多い。すなわち、好酸球性中耳炎は一個体に発症する気道の慢性好酸球性炎症の一つと考えられよう。耳所見は比較的特徴的で、耳漏はニカワ状と表現されるように非常に粘稠である。重症な症例では鼓膜穿孔がみられることが多い。治療としてはステロイドの局所または全身投与が著効する。維持療法としてはステロイドの鼓室内注入が有効であるが、永久的な鼓膜穿孔を生じさせないためには必要に応じてステロイドの全身投与を適時併用することも重要である。本稿では、好酸球性中耳炎の疫学、臨床的特徴、そして重症度に応じた治療法について述べる。

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© 2010 日本耳科学会
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