Otology Japan
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原著論文
高齢者平衡機能に対する足底刺激の影響
―起立検査を指標として―
大谷 真喜子野々田 岳夫細田 泰男
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2011 年 21 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

固有知覚と筋力は加齢とともに減弱し、その変化が高齢者の平衡機能低下に関連しているとされる。足底への機械的刺激によって下肢筋の萎縮が予防できる可能性が、最近示唆された。今回、我々は毎日の足底への機械的刺激が高齢者の平衡機能を改善させることができるかを検討した。足底への刺激は、座位にて裸足でゴルフボールを転がす刺激とした。対象は、70歳以上の女性で、足底刺激を指導した刺激群17人と指導しなかった対照群14人の31人である。平衡機能の指標として、マン姿勢維持可能時間と片脚起立時間を用い、足底刺激指導後より毎月計測した。
マン姿勢維持可能時間では、対照群は1ヶ月後で右足前・左足前の開眼閉眼ともに有意差は認められなかったが、刺激群では1ヶ月後の閉眼右足前(p<0.001)で有意に時間が延長した。片脚起立時間においても対照群では1ヶ月後で有意差は認められなかったが、刺激群では1ヶ月後の開眼右足上(p<0.01)、開眼左足上(p<0.01)、閉眼右足上(p<0.01)、閉眼左足上(p<0.05)で有意に時間が延長した。
ゴルフボールを毎日転がす足底刺激法が、立位バランスの加齢変化を改善させる可能性が示唆された。

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© 2011 日本耳科学会
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