2011 年 21 巻 3 号 p. 261-264
当科において行われている側頭骨悪性腫瘍に対する頭蓋底手術について紹介し、術前画像所見や病理組織学的所見と予後との関係を検討した。検討対象は根治的な腫瘍切除術を行った側頭骨悪性腫瘍21例 (外耳原発20例、中耳原発1例) で、岸本の分類によるT分類ではT2: 9例、T3: 2例、T4: 10例である。) である。CT、MRIを中心に腫瘍の進展範囲を評価し、21症例中13例で側頭骨外側切除術が、8例で側頭骨亜全摘術を施行した。病理学的に完全切除と考えられたこれら21例中3例において再発が認められた。それ以外の18例は再発なく順調に経過している。Kaplan-Meier法による疾患特異的5年生存率は81.1% (術後経過観察期間6-78ヵ月中央値28ヵ月) であった。副咽頭間隙や頸部へのリンパ節転移のコントロールが問題と考えられ、より詳細な術前画像評価が今後の課題としてあげられる。