Otology Japan
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原著論文
感音難聴と顔面神経麻痺を示すMPO-ANCA関連中耳疾患の1例: 診断基準案の提案
武田 憲昭神村 盛一郎千田 いづみ北村 嘉章陣内 自治阿部 晃治田村 公一宇高 二良遠藤 亜紀
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2011 年 21 巻 5 号 p. 808-815

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抄録

感音難聴と顔面神経麻痺を示したMPO-ANCA関連中耳疾患症例を報告した。耳閉感で初発し、滲出性中耳炎の治療を受けるも両感音難聴が進行した。ステロイドの効果は一時的であり、その後、左顔面神経麻痺が出現した。側頭骨CTでは中耳に軟部陰影を認めたが、骨破壊なし。PR3-ANCA陰性、MPO-ANCA陽性であったが、肺・腎病変はなく、中耳組織に血管炎の所見を認めなかった。ステロイドと免疫抑制薬の投与により、難聴と顔面神経麻痺は改善した。このような感音難聴と顔面神経麻痺を示すMPO-ANCA関連中耳疾患は、MPO-ANCAによる血管炎が関与している可能性があるが、組織検査でANCA関連血管炎と診断できない。また、本疾患はANCA関連血管炎とは臨床的特徴が異なっていた。本疾患はステロイドと免疫抑制薬の併用治療が有効であるため、免疫抑制剤の使用の根拠となる診断名が必要と考え、診断基準とともに提案した。

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© 2011 日本耳科学会
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