抄録
マイコプラズマ肺炎に両側感音難聴を合併した症例を、若干の文献的考察を加えて報告した。症例は、55歳女性で主訴は、呼吸困難感、難聴であった。現病歴は、2007年4月18日頃から発熱、咳嗽を認め、同24日近医で肺炎を指摘され、翌25日精査のため当院を受診した。純音聴力検査では、両耳に感音難聴を認めた。呼吸器内科では、マイコプラズマ肺炎の診断でセフェム系とマクロライド系の抗菌薬が投与された。当科ではステロイド剤の点滴を開始した。5月3日退院時には聴力は右耳43dB (5分法)、左耳46dB (5分法)まで改善した。抗体価は単一血清で高値を示しマイコプラズマの感染と考えられた。感音難聴の発症機序としては蝸牛小管経由説、自己免疫説、正円窓経由説が有力であるが、自験例から自己免疫説が合理的であるといえる。肺炎に感音難聴の合併を認めた場合、マイコプラズマ感染の可能性を念頭に置く必要があると思われた。