2012 年 22 巻 1 号 p. 40-46
Usher症候群は視聴覚障害を生じる疾患の代表であり、臨床症状により3つにタイプ分類されている。平成22年度より難治性疾患克服研究事業として「Usher症候群に関する調査研究」が全国13施設の共同研究で開始された。そこで我々は本症候群の実態把握のため全国アンケート調査を行った。
対象は日本耳鼻咽喉科学会の定める認可研修施設 (697施設) とし、患者数、ならびにタイプ判定を質問項目とした。
61.1%の施設より回答が得られたが、報告された患者数は111名に留まり、半数近くの52例 (46.8%) がタイプ判定困難な症例であった。患者数が極端に少ない理由として、本症候群患者であっても耳鼻咽喉科を受診していない場合や、受診してもその後経過観察されていないことが考えられ、タイプ判定が困難な理由は分類基準の曖昧さと思われた。
より正確な実態把握をしていくためには眼科医との連携とタイプ分類をどの施設でも容易にする統一された分類方法の工夫が必要と考えられた。