2012 年 22 巻 1 号 p. 47-52
Auditory Neuropathy (AN) が疑われた難聴小児に対して、難聴遺伝子解析を行い、3症例にOTOF遺伝子の変異を確認した。1症例は2アレルに、2症例は1アレルにのみOTOF遺伝子変異が同定されたが、3症例ともABRの結果とDPOAEの結果に乖離があり、言語発達の面でも通常の内耳性難聴児とは異なる経過であった。3症例中1例は、新生児聴覚スクリーニング両側パスで、他の1例は一側要精査例であった。DPOAEは、初診時は正常でも徐々に異常となっている例や、初診時から一側は異常であった例も認められた。
新生児聴覚スクリーニングの普及により早期にANと診断される難聴児の経過は様々であり、DPOAEが異常となる例も確認され、遺伝子解析がAN診断の一助となる可能性があることが示唆された。